この記事は レコチョク Advent Calendar 2025 の5日目の記事となります。
🤝はじめに
こんにちは!システム開発第1グループに所属しているデザイナーの児玉です。 最近は11月に発売されたRADWIMPSのトリビュートアルバムがエモすぎて青春すぎて最高すぎて、、、リピートしてずっと聴いています。音楽も香りのように当時の記憶が鮮明に出てくるものですよね。。。
さてさて、本題ですが今年9月に開催された MakerFaireTokyo 2025 では、「カメレオンノーツ2」のデザインを担当しました。
昨年誕生したキャラクター レオンくん を、今回は iPad アプリ Nomad Sculpt を使って 3D モデル化しています。
今回の大きな進化点は、
AIで“下絵”を作るところからスタートしたこと
です。これにより、制作フローが変わり、効率もクオリティも大幅にアップしました。
🤖「Maker Faire Tokyo」について
2023年よりこれまでとは異なる分野への挑戦を通じ、レコチョクに対する新しいイメージを持ってもらうことを目的とした「新しい音楽体験研究所」プロジェクトが立ち上がりました。 NX開発推進部では、「新しい音楽体験」を提供する取り組みの一環として、一昨年から「Maker Faire Tokyo」へ出展をしてきました。 詳しい内容は 以下の記事 で紹介しています。
🦎 カメレオンノーツ2とは?
「カメレオンノーツ2」は、前作「カメレオンノーツ」の続編として制作した体験型作品です。
AIによる作詞体験をゲーム感覚で楽しめるプログラムです。このゲームでは、まず手元のコントローラーを使い、的当てゲームを行います。この結果から、季節や感情を表すキーワードが決まります。その後、AIはこれらのキーワードをもとに作詞を開始し、たったの30秒でオリジナルの歌詞付き楽曲が生まれます。
今回の記事では、コントローラーに印刷するレオンくんの 3D モデリング制作にフォーカスして紹介します。
📱使用したもの
- iPad Pro(第1世代)
- Apple Pencil(第2世代)
- Nomad Sculpt
- Google AI Studioで生成した3Dモデル用の下絵(正面図)
- レオンくんの2D設定資料
🎨 制作フロー
1. AI下絵生成
去年は手描きイラストを見ながら手探りでモデリングしましたが、今回はまず Google AI Studio(Gemini 2.5)で2Dのレオンくんの写真を読み込ませてそれを3D化した正面図を描いてもらうところからスタート。
生成に使ったプロンプト:

「添付した画像の個性を踏襲して丸いフォルムのカメレオン“レオンくん”の3D正面図を作成して。子ども向けのゆるキャラ風。立体化しやすいように左右対称。くるんとしたしっぽ、柔らかい表情。白背景でシンプルに。」
AIの下絵をガイドにすることで、作業効率と再現度が大幅に向上しました。



下絵に使う画像は白黒の方が私はやりやすかったです。
2. ブロッキング
3Dモデリングの最初の工程である “ブロッキング”(大まかな形をざっくり組む工程) では、プリミティブ(球・円柱)を組み合わせ、まずシルエットを優先して作りました。
工夫ポイント
- 頭は大きめ、体は円柱、手足は短め
- 手足・しっぽ・胴体・顔の角度を決める
💡 去年との違い:以前は完全に手探りでしたが、AI下絵があることで迷いがほぼゼロになりました。
3. スカルプト
次に “スカルプト”(粘土のように形を盛ったり削ったりする作業) を行います。 Nomad Sculpt のブラシ(Clay / Smooth / Inflate など)を使い、丸みを出していきました。
工夫ポイント
- 丸み優先でエッジをほぼ消す
- 背中とお腹の体格差で“かわいい厚み”を出す
- しっぽの太さ変化は丁寧に
- 目の位置は0.5mm単位で慎重に
つまずきポイント
- しっぽのメッシュ荒れ → リメッシュで対応
- 頭と体の接続バランス
- 口元や目の凹凸 → 気を抜くと恐ろしいエイリアンに…👽
💡 Nomad Sculpt の魅力:プリミティブの組み合わせや直感的ブラシ操作で、複雑な形も迷わず作れました。
4. 着色・レンダリング
- ベタ塗り中心で“とろん”とした玩具風の質感
- 影を最小限、ハイライト少しだけ
- ライト設定を調整して雰囲気を演出
💡 去年との違い:以前は色付けで立体感が安定しなかったですが、今回はAI下絵をベースにすることで再現度が高いです。
👀去年との比較
去年のモデルと、今回のモデルを並べてみると違いは一目瞭然です👇



| 去年 | 今回 |
|---|---|
| イラストを見ながら手探りで形を探す | AIの下絵で迷いが減り、作業効率UP |
| 造形が人間寄りになったり、表情が安定しなかった | 下絵ベースのためキャラの“軸”がブレない |
| 図形を組み合わせて成形 | AIの線画をもとに粘土のように造形 |
まとめると、今年の制作では AIがガイドを作り、Nomadが立体化する流れが非常に相性が良い と感じました。
💡 AI活用のメリット・デメリット
メリット
- 下絵生成で形の迷いがほぼゼロ
- キャラクターらしさが安定
- 作業効率が大幅アップ
- 3D初心者でも破綻しにくい
デメリット / 注意点
- AIだけでは納得いく絵にならない場合がある → 納得いくまで生成を繰り返す必要あり
- 細かい表情や角度は手作業で調整必須
- 過信すると“個性”が出にくくなる可能性
🚀今後やりたいこと
- レオンくん・レコチョクマの様々なポージング制作
- Webで回せる3Dビューア対応
- 色違い&表情違いのバリエーション展開
🦎おわりに
3D制作はかなりハードルが高かったですが、「AIが下絵を作る」×「Nomadが直感操作できる」という組み合わせのおかげで、想像以上にスムーズに進みました。
表現したいレオンくんが3Dのリアルな世界に飛び出していく感覚は、世界がさらに広がるようで、本当に楽しい制作でした。
今後の作品でも積極的に3Dを取り入れていきたいと思います!
明日の レコチョク Advent Calendar 2025 は6日目「「RecoChoku Engineering Blog」をフルリニューアルしました!」です。お楽しみに!
児玉 実優