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【iOSDC Japan 2025登壇レポート】MetricKitで挑んだパフォーマンス改善

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後藤新
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後藤新
最終更新日2025/11/28 投稿日2025/11/28

はじめに

こんにちは、後藤です。普段はiOSアプリの開発・運用に携わっています。 今年はiOSDC Japan 2025で、パフォーマンス改善をテーマに登壇しました。

登壇タイトルはアプリの「もっさり」を解決!MetricKitを活用したアプリのパフォーマンス改善です。

iOSDC Japan 2025は、iOS関連技術をコアにしたソフトウェア技術者向けカンファレンスです。 2025年は9月19日(金)〜 9月21日(日)に開催され、知的好奇心を刺激するトークやパンフレットに掲載された技術記事など、コンテンツが盛りだくさんでした。

この記事では、プロポーザル作成から本番当日までの流れや、登壇を通して得られた学びを振り返っていきます。

プロポーザルを出すまで

直近行っていたパフォーマンス改善に関する業務で、ユーザーから好評の声をいただき、この内容ならいけるかも?と思い、 今年はiOSDCにプロポーザルを出してみよう!と5月ごろ決心しました。

プロポーザルを書く際に参考にしたのが、主催者の長谷川さんによるカンファレンス主催者から見た プロポーザルを通すコツ / How to hack the CfPです。

とくに「トークを通して伝えたいこと」をしっかりと記載しました。 具体的には、聴講者が「どのような状態になるのか」「どのようなメリットを受けるのか」という観点を重視しました。

書いていくうちにこっちの表現の方が良いな・・・と思うことが何度もあり、 寝る→見直すのループを4,5回繰り返して投稿しました。 一夜漬けで提出するよりもクオリティの高いものをプロポーザルとして提出できたと思います。

採択されてから本番まで

実際に採択通知のメールが届き、飛び跳ねるくらい嬉しかったです。近くにいた先輩に自慢しに行ったのを覚えています(笑)

その後は発表準備モードに切り替えたのですが、「果たしてこの発表は人の役に立つのだろうか?」「受け入れてもらえるのだろうか?」という不安と、「採択されたからにはやり切るしかない!」という気合いが行ったり来たりする日々でした。

トークの準備に意識していたのが、テスト駆動開発のエバンジェリストとして知られるt-wadaさんのAsk Me Anything! t-wadaさんに何でも聞いてみよう!での「技術系の発表や登壇をするときに一番大事にしていることを教えてください」という質問に対しての回答です。 t-wadaさんは「聴いてくださっている皆さんの明日を変えること。自分がこういうことをしましたという発表ではなく、聴いている人の何が変わるか、聴いている人にとってどういう意味があるのかを考える。」という旨の回答をしていらっしゃいました。

この考え方に強く共感し、「せっかく聴きに来てくださるなら、明日から試せる種を持ち帰ってほしい」と意識を新たにしました。 プロポーザル段階から「聴き手が持ち帰れるもの」「明日への活かし方」を軸に内容を構成するようにしました。 パフォーマンス改善がテーマだったこともあり、「測定することの大事さを知ってもらう」ということを中心にトークを組み立てていました。

また、社内のメンバーにレビューを依頼し、「この部分は初見だと少し分かりづらい」「ここはもう少し背景を説明した方が良い」といったフィードバックをもらいながらブラッシュアップしていきました。

9月にはパンフレット等も届き、自分の名前が載っているのをみて興奮したのを覚えています。

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そして登壇

いざ登壇すると緊張しましたが、実際に喋り始めると落ち着いて話すことができました。 また、トークする際に声優の立木文彦さんに名前を呼んでいただけるのですが、カイジファンとしては大歓喜の瞬間でした。

主催者の長谷川さんが共有してくださっている資料には、「来場者の反応を見ながら笑顔で話し、原稿の読み上げではなく目の前の人に自分の言葉で説明することを意識すると良いトークになる」といったアドバイスが書かれていました。 その内容を参考に、ただ原稿を読み上げるだけではなく自分の言葉で説明することを意識しました。

(本番きちんとできたかはわかりませんが)、相手に伝えるということを今までより意識できるようになったと感じています。

【おまけ】 Day2終了後の懇親会のお弁当が豪華でした。

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振り返り

今回が初登壇だったこともあり準備はなかなか大変でしたが、実際に挑んでみると得られるものの方が圧倒的に多かったです。

準備の段階では、スライド1枚ごとに「この情報は本当に必要か」「もっとシンプルに伝える方法はないか」と向き合い、結果的に自分自身の理解も深まりました。 また、プロポーザル作成時から意識していた「聞き手の明日を変える」という視点は、今後どんなテーマで話すときも大事にしていきたい軸だと改めて感じています。

さらに、トーク終了後にはXやブログで感想を書いてくださる方が想像以上に多く、「MetricKitを触ってみようと思った」「自分の現場でも参考になった」といった声に何度も励まされました。 iOSDCではトークに対してフィードバックを送れるのですが、そこでも「定量的なデータ可視化の大切さが伝わった」「自サービスでもMetricKitを導入したい」といったコメントをいただき、とても嬉しかったです。

自分が現場で試行錯誤してきた内容が、他の現場にも届いたことが実感でき、登壇して本当に良かったなと思えた瞬間でした。

まとめ

今回、iOSDC Japan 2025に登壇・参加して、iOS開発者コミュニティの熱気を肌で感じることができました。 スポンサーブースでの何気ない会話からも、各社がどのように課題に向き合っているのか、どんな工夫をしているのかを知ることができ、とても刺激になりました。

セッション準備を通じて、自分の中で曖昧だった知識や経験が整理され、言語化されていくプロセスは大変でありつつも、とても楽しいものでした。 今後は、今回の学びを自社プロダクトの改善にさらに活かすとともに、別のテーマでも登壇に挑戦してみたいと考えています。

もしこの記事を読んでいる方の中に、「登壇に興味はあるけれど、一歩目を踏み出せていない」という方がいれば、ぜひ勇気を出してプロポーザルを書いてみてほしいです。 現場での取り組みや学びは、きっとどこかの誰かの明日を変える力になるはずです。

最後に、この場を借りてiOSDC Japan 2025運営のみなさまに、あらためてお礼を申し上げます! 来年もぜひ参加したいと思える素晴らしいイベントでした!

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