導入
こんにちは、記事をご覧いただきありがとうございます!
データアーキテクトグループの中小路と申します。
レコチョクでデータサイエンティストのような仕事をしています。
最近のAIの進歩は驚異的ですね。まさに時代の転換期が到来していると日々感じます。
さて、先日ChatGPTのPlus会員向けに、ChatGPT Pluginsがロールアウトされました。
現在100を超えるプラグインが存在していますが、数が多すぎてどれを使えばいいのかわからないという方はいませんか?
そんな方のために、おすすめのPluginを3つ紹介したいと思います。実際のプロンプトをお見せしながら紹介しますので、活用のイメージもしやすいかと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いします。
おすすめプラグインその1. World News
最初に紹介するのは「World News」というアプリになります。こちらは、海外のNewsサイトの記事を検索できるプラグインになっています。
では、実際のプロンプトを作って、プラグインを使ってみましょう。
User
#利用プラグイン World News #指示 あなたは優秀なAI研究者です。 今週発表されたAIに関するニュースを要約し、あなたなりの考察を記載してください。 以下に指定した制約条件を遵守し、成果物のフォーマットは指定したものに従ってください。 #制約条件 ・出力するニュースは今週発表されたものに限定すること。 ・出力するニュースの数は最大5個にすること。 ・各本文は500文字以内にすること。 ・各考察は500文字以内にすること。 ・出力は日本語にすること。 ・タイトル、本文は参照URLと同じものは使用しないこと。 #成果物 以下の手順で書き出して下さい。 1: タイトル 2: 本文 3: 考察 4: ニュースの発表日 5. 参考URL: #フォーマット {連番}. {タイトル} 【本文】: 【考察】: 【発表日】: 【参考URL】: |
プロンプトについて説明をします。
「#利用プラグイン」では、使用するプラグインを明示しています。
これを書かなくても、ChatGPTは自動的に使用すべきプラグインを探して実行してくれます。しかし、プロンプトを共有した際や後で自分が見返したときに意図をわかりやすくするため、敢えて記載するようにしています。
「#指示」はChatGPTに実施してほしい内容を記載しています。
まず、ロールを明示することで、回答立場を明確にし、適切な文章が出力されるようにコントロールしています。
ChatGPTは文章を生成する際、次に現れる確率の高い1単語(トークン)を出力していくという仕組みになっています。
そのため、ロールを指定し、回答する立場を限定することが有効な手段と考えられています。
今回は、AI研究者としての立場での考察を期待し、このロールを指定しました。
また、出力する内容はニュースの要約と考察の2点にしています。そのうえで、制約条件と成果物のフォーマットを指定しています。
「#制約条件」はChatGPTに課す制約を記載しています。
条件を指定しないと、好き勝手に文章を生成してしまうため、条件は明示することが必要です。
タイトルについては、参考URLのものをそのまま使用しないよう指定しました。
「#成果物」「#フォーマット」は出力する文章のレイアウトを調整している部分です。
プロンプトを実行したところ、下記のような出力結果になりました。(実行日: 2023-06-01)
※ 長文となるため、1ニュース文の内容のみを切り取りました。
ChatGPT
AI業界のリーダーが「絶滅のリスク」を警告 【本文】: AI技術の開発に携わる350人以上のエグゼクティブ、研究者、エンジニアが、彼らが開発しているAI技術が人類にとって存在の脅威をもたらす可能性があると警告する公開書簡に署名した。 【考察】: AIの進化に伴い、その潜在的なリスクについての議論が増えています。AIが人間の知能を超え、制御不能になる可能性については、引き続き研究と議論が必要です。 【発表日】:2023-05-30 【参考URL】: https://www.breitbart.com/tech/2023/05/30/global-priority-ai-industry-leaders-warn-of-risk-of-extinction/ ` |
OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏やGoogle DeepMindのCEOらが「人類絶滅」のリスクを訴えたニュースがピックアップされました。
いかがでしょうか。
ニュースの記事をChatGPTに教え込むことができるというのが何よりの強みです。
これによって、日本語への翻訳、内容の要約、さらに考察も出力してもらうことができます。
さらに、出力された内容に対して、チャットベースでさらなる深掘りの質問も可能です。
では、深掘りの例として、以下のように質問してみます。
User
AI技術が人類にとって存在の脅威をもたらすとはどういう意味ですか? 記事の中に記載がある内容の中から、想定されているリスクを列挙して具体的に説明してください。 もし記事の内容に記載がない場合、それを教えてください。その後、代わりにあなたが自分の考えで説明してください。 |
ChatGPT
申し訳ありませんが、提供された記事の中には、AIが人類にとって存在の脅威をもたらす具体的なリスクについての詳細な説明は含まれていません。そのため、具体的なリスクについては記事の内容からは引き出せません。 しかし、一般的にAIが人類にとって存在の脅威をもたらすという警告は、以下のようなリスクに関連しています。 AIの自律性と制御不能: AIが人間の知能を超え、自己学習と自己改善を行う能力を持つと、その行動を予測や制御することが難しくなる可能性があります。これは「シングラリティ」とも呼ばれ、AIが自己意識を持ち、人間が理解できない速度で進化する点で、人類にとっての脅威となり得ます。 AIの誤用と悪用: AI技術が悪意を持つ人々や組織によって誤用または悪用される可能性もあります。例えば、自律的な武器システム(いわゆる「キラーロボット」)や、ディープフェイク技術(人物の音声や映像を偽造する技術)などがこれに該当します。これらの技術が誤用または悪用されると、社会的な混乱や個人のプライバシー侵害などの問題が生じる可能性があります。 これらのリスクを軽減するためには、AIの開発と利用に関する厳格な規制や倫理的なガイドラインが必要となります。また、AIの透明性と説明可能性を確保し、AIの意思決定過程を人間が理解しやすい形で提示することも重要です。 |
このように会話を進めることで、さらなる知識のキャッチアップができることに加え、自分の考えを整理していくことが可能です。
おすすめプラグインその2. Zapier
次に紹介するプラグインは、タスク自動化ツールであるZapierです。
ZapierはChatGPTのプラグインとは関係なく、以前から存在していたツールです。例えば、問い合わせがあった際に、それを受け付けた旨のメールを自動送信、さらにslackで担当者に通知するといったワークフローをすべてノーコードで自動化することが可能です。
有料のサービスですが、無料プランでも5つの自動化ツール(Zap)を作成でき、月に100タスクを実行できます。(※2023年5月時点)
そんなZapierですが、シンプルなUIながらも苦手な方にとってはとっつきにくく、参入障壁が少しありました。
しかし、ChatGPTと連携することで、自然言語でZapierを利用することが可能になりました。
では、実際に使ってみます。
まず、ZapierのプラグインをインストールしてZapierのアカウント登録とChatGPTとの連携作業を実施します。(詳しい手順は省略します)
連携が完了すれば、Zapierのプラグインが利用可能になります。その後、プラグインをセットしてプロンプトを実行してください。
では、特定のハッシュタグを含むツイートを自動収集するケースを考えます。
プロンプトは下記です。
User
# 利用プラグイン Zapier # 指示 '#レコチョク'というハッシュタグを含むツイートを自動収集してGoogleスプレッドシートに出力するZapを作ってください。 このタスクで最高の結果を出すために、追加の情報が必要な場合は、質問をしてください。 |
ChatGPT
以下のようなZapを作成しました。 ハッシュタグ'#レコチョク'を含む新しいツイートが投稿されたときにトリガーします。 そのツイートをGoogleスプレッドシートに追加します。 このZapを確認し、必要に応じて設定を調整するためのリンクはこちらです。このリンクをクリックして、Zapierのウェブサイトで詳細を確認してください。 |
リンク先をクリックすると、下記のような確認画面になります。
内容に問題がないかを確認し、作成へと進みます。( ※ 他サービスとのアカウントの連携が必要な場合があります)
いかがでしょうか。
ChatGPTを入り口にして、チャットベースでのZap作成が可能になることで、Zapierの利用のハードルがグッと下がると思います。
Twitterとの連携は有料のProfessionalプランへの加入が必要ですが、他にも5,000種類以上の連携可能なアプリケーションがあります。既存の業務へ活用できる可能性は高いのではないでしょうか。
おすすめプラグインその3. Show Me
最後に紹介するのは図解を可能にするShow Meというプラグインになります。
プラグインを使わない場合、ChatGPTの出力に図解を含めることはできません。
そのため、図解が必要になるシーンで活躍する汎用性の高いプラグインになっています。
では、このプラグインを使って、ロジックツリーを作成する下記のプロンプトを実行してみます。
User
# 利用プラグイン Show Me # 前提 私は30代の一般男性です # 指示 あなたは優秀なパーソナルトレーナーです。 まず、課題を解決し目的を達成するための思考プロセスをロジックツリーで可視化してください。 その後、作成したロジックツリーを基に、私にさまざまな質問をすることで必要な情報を収集し、下記の課題を解決し目的を達成するための最高のアドバイスをください。 ただし、指定する質問のルールと制約条件を遵守してください。 # 課題 肥満のためダイエットを始めたが、なかなか続かない # 目的 ダイエットを長期的に継続したい。 # 質問のルール ・質問は具体的に示すこと。 ・質問と同時に質問の意図と回答例を簡潔に示すこと。 ・質問は一回でひとつまでとし、複数質問したいことがあれば、分割して質問すること。 ・「不明」と回答した場合は別の質問を示すこと。この場合、質問回数をカウントしないこと。 # 制約条件 ・出力は日本語にすること。 ・ロジックツリー内部の記載も日本語で出力すること。 ・作成するロジックツリーは必ずMESEに基づくこと。 ・質問は最大10回までにすること。 |
プロンプトの説明をします。説明が重複する部分は省略します。
「#前提」の部分では、ユーザーについての簡単なプロフィール情報を記載しました。
「#指示」の部分では下記の処理の流れをChatGPTに依頼しています。
1. 課題を解決し目的を達成するための思考プロセスをロジックツリーで作成する
2. 作成したロジックツリーを基に、必要な情報をユーザーとの会話を進めることで収集する
3. 情報の収集が完了したら、ユーザーにアドバイスをする
この処理を順番に行うことで、ユーザーにとってはまず、ロジックツリーで大雑把な考え方の道筋を捉えることができ、その上でアドバイスをもらうことができます。
また、課題解決のためにはユーザーのパーソナルな情報が必要になりますが、どのような情報が必要なのかユーザーには判断が難しいため、情報収集のための質問自体もChatGPTにしてもらうようにしました。
このテクニックは汎用性が高く、他のケースでも活用できるかと思います。その際、今回のように回答例も示すようにしておくと、答えやすくなるかと思います。ただし、答える内容にバイアスがかかってしまうリスクもあるためご注意ください。
ChatGPTの回答は下記の画像のようになりました。
ロジックツリーを見ると、ダイエットの方法、モチベーション管理、ライフスタイルの改善という3つの軸を示してきました。
ユーザーはこの段階で、どのように思考を巡らせていけばよいのか捉えることができます。
ちなみに、作成したロジックツリーは編集およびダウンロードが可能です。
では、次にChatGPTからの質問に答えていきます。
やりとりは下記となりました。
ChatGPT 質問: 現在の食事はどのように管理していますか? 意図: 食事管理はダイエットの重要な要素です。あなたがどのように食事を管理しているかを理解することで、改善点を見つけることができます。 回答例: 朝食はパンとコーヒー、昼食は外食、夕食は家で簡単なものを作っています。 User 昼食は外食、夕食は家で簡単なものを作っています。朝食は食べていません。 ChatGPT ありがとうございます。食事の内容について理解できました。 質問: 週に何回運動していますか?また、どのような運動をしていますか? 意図: 適度な運動はダイエットにおいて重要です。あなたがどの程度運動しているのか、またどのような運動をしているのかを理解することで、適切なアドバイスを提供することができます。 回答例: 週に3回、ジョギングをしています。 User 毎日20分程度ジョギングをしています。 ChatGPT ありがとうございます。運動習慣について理解できました。 質問: ダイエットの目標は具体的に何ですか? 意図: 目標設定はモチベーション管理において重要です。具体的な目標を設定することで、達成感を得やすくなり、ダイエットを続ける意欲を保つことができます。 回答例: 3ヶ月で5kg減量することが目標です。 User 3ヶ月で5kg減量することが目標です。 ChatGPT ありがとうございます。具体的な目標を設定していることは素晴らしいです。 質問: 進捗はどのように確認していますか? 意図: 進捗の確認はモチベーションを維持するために重要です。自分の進捗を確認し、目標に近づいていることを実感することで、ダイエットを続ける意欲を保つことができます。 回答例: 毎週体重を計測し、記録しています。 User 毎週体重を計測し、記録しています。 ChatGPT ありがとうございます。進捗を確認する習慣があることは素晴らしいです。 質問: 普段の睡眠時間はどのくらいですか? 意図: 睡眠の質はダイエットにも影響します。十分な睡眠をとることで、食欲をコントロールしやすくなります。 回答例: 平均して1日に7時間程度寝ています。 User 平均して1日に7時間程度寝ています。 ChatGPT ありがとうございます。適切な睡眠時間を確保していることは良いです。 質問: ストレスはどのように管理していますか? 意図: ストレスは食欲や運動習慣に影響を与えます。ストレス管理の方法を理解することで、ダイエットの成功に向けたアドバイスを提供することができます。 回答例: ヨガや瞑想を行ってストレスを管理しています。 User 特に何もしていません。 ChatGPT ありがとうございます。ストレス管理について理解できました。 これらの情報を基に、以下のアドバイスを提供します。 食事管理: 朝食を抜くのではなく、バランスの良い食事を摂ることをお勧めします。朝食を摂ることで、一日のエネルギー源となり、適切な食事制御を助けます。 運動: 毎日ジョギングをしていることは素晴らしいです。ただし、運動の種類を増やすことで、より効果的なダイエットが可能になります。例えば、筋トレを加えることで、基礎代謝を上げ、ダイエット効果を高めることができます。 モチベーション管理: 目標を設定し、進捗を確認していることは素晴らしいです。ただし、進捗が思うように進まない時もあるかもしれません。そのような時は、焦らず、自分自身を信じて続けてください。 ライフスタイルの改善: 睡眠時間は適切に確保されていますが、ストレス管理については改善の余地があります。ストレスを溜め込むと、食欲が増えたり、運動する気力が失せたりすることがあります。リラクゼーションの時間を設ける、趣味に没頭する、友人と話すなど、ストレスを解消する方法を見つけることをお勧めします。 これらのアドバイスがダイエットを長期的に続けるための一助となれば幸いです。 |
やり取りを見ていくと、ロジックツリーの最後の葉の部分についての情報を順番に聞いてくるようです。
今回のチャットの紹介はここまでにしますが、最後のアドバイスについても、何か深掘りしたいことがあれば、引き続き会話を続けることができます。
例えば、ストレスを管理したいが、友達がいなくて困っている。友達を作るためにはどうしたら良いですか?など聞いてしまいましょう。とても優しく教えてくれると思います。
今回はダイエットという身近なシチュエーションを例にしましたが、ビジネス上の実際の課題に対しても活用できるプロンプトかと思います。
ぜひ参考になさってください。
おわりに
本記事では、私がおすすめしたいプラグインを3つ紹介しました。
使ってみたいと思えるプラグインはあったでしょうか?
プラグインが利用可能になったことで、ChatGPTの活用の幅は大きく広まったと考えています。
今後もChatGPTとそのAPIが世の中に及ぼす進化が楽しみです。引き続き情報を追っていきます。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
今回紹介した内容によって、ChatGPTをより効果的に活用できるきっかけになれば幸いです。
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