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VRライブストリーミングについて

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鈴木賢司
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最終更新日2017/06/19 投稿日2017/06/19

VR動画が配信されるまで

VR動画をリアルタイムに配信する仕組についてまとめます。

撮影から視聴まで、以下のように動画データが転送されます。

カメラ → 配信用PC → サーバ(CDN) → 視聴端末

配信イメージ.png

以下各ポイントごとに要点をまとめます。

1. カメラ

配信したい動画の種類にあったカメラを用意します。

360°のVR動画を撮影したい場合、RICOHのTheataやSamsungのGear360、またはカメラ複数台を専用のリグで固定するなどして撮影します。 180°のVR動画を撮影したい場合、ひとつのカメラに魚眼レンズを装着して撮影します。使用するレンズ次第では180°以上の撮影も可能です。 3DのVR動画を撮影したい場合、右目用、左目用にそれぞれ動画を撮るためのカメラが必要です。 魚眼レンズには対角魚眼レンズと円周魚眼レンズがあります。魚眼レンズで撮った映像は円形の形をしていますが、この円形の映像がすべて画面に映るようにとれるのが円周魚眼レンズ、画面から円形がはみ出すのが対角魚眼レンズです。 対角魚眼レンズの場合動画の一部が切れてしまうため、視野角を広くしたい場合は円周魚眼レンズを使用します。


検証で使用した資材

カメラ:FDR-AX40、Canon EOS 5D Mark Ⅲ レンズ:HDP-2800ES、Canon EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM

カメラ.jpg

2. 配信用PC

カメラで撮った動画をサーバ(CDN)へアップロードする役割を担います。 スティッチ(複数のカメラで撮った動画をつなぎ合わせる処理)や動画のエンコードを行う場合は、スペックの高いPCが必要です。 カメラから動画を取り込むためには、キャプチャボードが必要です。 動画のアップロードには配信ソフトを使用します。配信ソフトには、フリーのものからシェアウェアのものまで、様々なものが存在します。


検証で使用した資材

PC:Alienware Aurora R5(windows10Pro、IntelCore-i7-6700 3.4GHz、RAM16GB)、MacbookPro(OX X EI Captan、Intel Core i5 2.9GHz、8GB) キャプチャボード:Intensity Pro 4K、UltraStudio Mini Recorder 配信ソフト:Wirecast 7.5、obs studio

機材.jpg

3. サーバ(CDN)

サーバへのアップロードはRTMP、サーバからのダウンロードにはHLSプロトコルを利用するのが一般的です。 RTMPは持続的接続を使い、HTTPと比較して低レイテンシ通信が可能です。 HLSはhttpが使える端末であれば基本的に利用可能なため、PCやiOS、Androidで視聴できるなど汎用性が高いです。また、SSLで暗号化を行うこともできます。 動画配信サーバはトランスコーダ機能を持っている場合が多く、トランスコーダ機能を利用することで、一本の動画から低画質版の作成など様々なフォーマットの動画を作成することができます。低画質な動画を作成することで、通信環境や視聴端末のスペックが低い視聴者への配信もスムーズに行えます。


検証で使用した資材

使用したCDNサービス:Limelight MMD Live Enhancement アップロードプロトコル:RTMP(Real Time Messaging Protocol) ダウンロードプロトコル:HLS(HTTP Live Streaming)


4. 視聴端末

VR視聴端末としてはHTC ViveやOculus Rift、PlaysStationVR、スマートフォンなどがあります。 プレイヤーは普通の動画プレイヤーではなく、VR用のプレイヤーを用意する必要があります。 VR用のプレイヤーはUnityを使うと簡単に作ることができ、作ったプレイヤーはUnityの機能でマルチデバイスに展開できます。 基本的にVRプレイヤーはエクイレクタングラーと呼ばれる形式の動画のみ再生できます。 魚眼レンズのカメラで撮影した動画はそのままだとエクイレクタングラー形式にはなっていないため、変換をかける必要があります。 スマートフォンで視聴する場合は、スマートフォンの発熱に注意する必要があります。 スマートフォンで視聴する場合は、スマートフォンのジャイロセンサーの不具合で勝手に動画が回り始めることがあります。


検証で使用した資材

使用した端末:SamsungGalaxy S6、S7、S7 Edge 使用したHMD:VR One Plus、GearVR 使用したVRプレイヤー:オリジナルプレイヤー

HMD.jpg

最後に

秋葉原のライブスペースと品川「AWS Summit Tokyo2017」会場をクローズドで中継し、3日間にわたり180度VRライブ配信を実施しました。 動画はこちらで公開しています。

VR視聴方法や注意事項などはこちらを御覧ください

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鈴木賢司

株式会社レコチョクの研究機関レコチョク・ラボのVR担当をしております。

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