はじめに
次世代ビジネス推進部の荻原です。
今回は暗号資産の「ウォレット」というものについて紹介します。
前回ブロックチェーンとその関連技術のイメージを掴むにて暗号資産分野で使われているブロックチェーン技術について解説したのですが、今回は技術的な話よりも実際に暗号資産を買う際に関係してくる内容です。
目次
1. ウォレットとは
「ウォレット」を日本語にすると「財布」です。「暗号資産の財布」ということは、自分が所持している暗号資産が入っているようなイメージを持つかもしれません。
しかし暗号資産のデータは個人が保管しているのではなく「分散型ネットワーク」というネットワーク上で共同で保持され、利用者はネットワークに繋ぐことで閲覧や送金などの手続きが可能になります。
そのため、ウォレットにはそのネットワークに繋ぐための「秘密鍵」というデータが保管されています。暗号資産のウォレットはお金ではなく鍵の入れ物なのです。
ウォレットはあくまで秘密鍵の入れ物なのでウォレットがなくなったり壊れたりしても直接的に暗号資産を失うということにはなりません。
2. アドレスと秘密鍵
秘密鍵がどのようなデータか、どんな役割があるのかについて簡単に説明します。
秘密鍵は暗号資産を所持している本人が隠し持っておく文字列のデータです。自分が保有している暗号資産の取引履歴・残高などのデータの閲覧や、取引の際に本人が送金したという証明などのために使います。
また、秘密鍵から「アドレス」という英数字の文字列も作成されます。アドレスは銀行の口座番号のようなもので、公開され送金の際に送金先として指定します。アドレスから秘密鍵を求めることは実質不可能なので、アドレスを公開しても問題はありません。
秘密鍵は意味のない文字の羅列ですが、HDウォレットという種類のウォレット(参考:【HDウォレット】1つの文字列から無限に秘密鍵を復元する仕組み)では12語〜24語程度の「ニーモニックフレーズ」と(「リカバリーフレーズ」や「シードフレーズ」などとも)呼ばれる単語の羅列によって復元されます。HDウォレットでは、ニーモニックフレーズをメモして保管しておき、新しいウォレットへ暗号資産の情報を反映するために使用します。ニーモニックフレーズを1つ覚えておけば複数のアカウントを復元できます。逆にニーモニックフレーズを忘れてしまったり盗まれてしまった場合は暗号資産をすべて失うことになります。
秘密鍵・アドレス・ニーモニックフレーズの例を、ニーモニックフレーズが日本語と英語の場合で示します。
--- 英語 --- # 秘密鍵 9f6df72d5f2e3625082890d6aa541a9e531c81a7e569eb33dcb7aec951fa2d7c # アドレス 0x0c30Daff8C713A35EC440bb5D3d863D9023F6706 # ニーモニックフレーズ bar tomato sort episode wrist donate among traffic table cloth veteran language --- 日本語 --- # 秘密鍵 2dae5109a38749dd754378da9906b7e802c68de50eff1d00c5bbb40b60a2a710 # アドレス 0xaaae657763e39eb9743A76433115Ee6E83681122 # ニーモニックフレーズ ずっしり しめる おきる だったい えしゃく てほん そだてる がいき おらんだ ととのえる いそがしい まんぞく |
3. ウォレットの種類
ウォレットには様々なものがありますが、2種類の分類方法があります。
1つ目は、ウォレットに実体があるか否かによってソフトウェアウォレットとハードウェアウォレットに分けられます。
ソフトウェアウォレットは端末にダウンロードして利用するため、端末のハッキングやウイルス感染の危険性がありますが、持ち運びの必要がありません。逆にハードウェアウォレットはハッキングやウイルス感染の心配は少ないですが、持ち運びなどの管理の手間・コストがかかり、紛失やウォレット自体の盗難の危険性があります。
2つ目はインターネットへの接続の有無によってホットウォレットとコールドウォレットがあります。それぞれのメリット・デメリットを含めて図で紹介します。
図ではホットウォレットに分類されているデスクトップウォレットとモバイルウォレットも、インターネットに接続していないときは秘密鍵をオフラインで保管できます。
図の内容をまとめると主に以下の通りです。
- コールドウォレットのメリットはセキュリティ面、デメリットは利便性
- ホットウォレットのメリットは利便性、デメリットはセキュリティ面
暗号資産を管理する上でのリスクを最小限にするには、複数のウォレットに分けて管理することが理想とされています。
4. ウォレットの実例
実際のウォレットを見てみます。
画像は、ブラウザ(画像はGoogle Chrome)の拡張機能である「MetaMask」というHDウォレットのウェブウォレットです。ログイン画面でキツネがカーソルを追いかけるのが可愛いです。
最初にこのウォレットに自分の暗号資産の情報を反映するにはこの下の画面でニーモニックフレーズを入力します。この画面では「シークレットリカバリーフレーズ」となっています。
扱っているのはイーサ(単位:ETH)という暗号資産なので、ログイン後の画面には真ん中に大きくイーサの残高が書いてあります。
このウォレットは現在、画像の上の方に出ている「Rinkebyテストネットワーク」に接続されています。ちなみにテスト用なので、保有しているイーサは価値は持っていません。
これを下の図の「イーサリアムメインネット」に接続すれば実際に価値を持ったイーサの取引が可能になります。
MetaMaskはウェブウォレットなので、ウォレットを開けばそのまま送金なども可能です。下の画像の中で「受領」となっているのはイーサを受け取ったときの履歴です。
送金する際は下の画面で送金先のアドレスを入力します。
さいごに
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
暗号資産を始める際はレートも大切ですが、ウォレットもメリット・デメリットをよく考えて選びましょう!
参考
- ビットコイン(Bitcoin)ペーパーウォレットの作り方と使い方
- 仮想通貨を安全保管。仮想コインを持ち歩けるLedger Nanoが日本上陸。【正規代理店】
- Symbolテクニカルドキュメント
- 最高の暗号通貨ウォレット | Ethereum ウォレット | ERC20 ウォレット | Trust Wallet
- ウォレットの種類を学ぼう
- 仮想通貨ウォレットのおすすめ4選を紹介!どこにビットコインを保管すべき?